* ੈ✩‧₊


 夜遅くまでベッドの中で悶々としていた。
 そこまでは覚えている。
 いつ眠ったんだろう?
 スマホのアラームにびっくりして目が覚めて、自分が眠っていたことに気がついた。

 睡眠が足りないんじゃないかと思うのに、頭は冴えていた。
 学校で亜理紗に会えたら、『おめでとう』って言おう!
 唐突にそう思った。

 私と亜理紗ならきっと平気だ。
 確かにお付き合いの中で、亜理紗が蒼空くんのコミュニティに入っていくことだってあると思う。
 だけど亜理紗なら、そこでがんばって蒼空くんに完全に染まろうとはしないだろう。
 何たって、亜理紗のいいところは『がんばらなさ』なんだから。

 何を焦ってたんだろう?
 こんな簡単なこともわからないだなんて……

 例のペンダントは、通学リュックにバッグチャームみたいにぶら下げることにした。
 魔女の力はなくても可愛いし、何より亜理紗とのお揃いだからいつも持っていたい。

「行ってきまーす」

 晴れやかな気分で家を出た。