「か、カラオケは? もう終わったの?」

 ひゃー、ドキドキする……

「ううん、まだ。遅くまで続きそうだったから、俺だけ抜けさせてもらってきた。今日、父親の誕生日なんだよね」

 お父さん、おめでとう!
 そして、この日に生まれてきてくれてありがとう!

 亜理紗が私の袖を掴んできた。

「わ、わ、私たちは、部活の合宿……が今度あって、そのための買い物に……ね、風花?」

 亜理紗の手から振動が伝わってくる。
 私以上にガチガチだ。

「そのあとケーキを食べに行ったの……私はガトーショコラが好きで……」

 ち、ちょっと!
 自分語りし過ぎじゃない?

 蒼空くんの様子を窺った。
 面倒くさそうでもなく、ニコニコ聞いてくれていてほっとした。

「そうなんだ。カラオケ来てくれたらよかったのにって思ってたんだけど、なら無理だったね」
「次誘ってくれたら、絶対行く! あっ、カラオケよりは、映画とかのほうが好きかな……」

 映画?
 そこで突拍子もなく映画?
 どう考えても、さっきからアガり過ぎ!