「ほんの数秒、瞳の奥を覗き込ませていただくだけで十分す。ですが、裏表がない素直な性格のおふたりの場合には、それすら必要ないですね」

 店員さんは、『ふふっ』と品よく笑った。

「おふたりにオススメするなら、こちらです」

 編み上げブーツで小気味よく床を叩きながら、花で覆われているアンティーク調の木製テーブルまで歩いていった。
 その引き出しは、いっぱいまで開けられている。

 私たちも近づいてみると、アクセサリーが陳列されていた。

「こちらのペンダント……」

 店員さんは丁寧にペンダントをふたつ取り出した。
 直径3センチくらいのガラス玉の中で、花が咲いている。

「ただ1度限りですが、好きな人の気持ちがわかります」

 私たちは同時に『えっ!?』と声を上げてしまった。

「それ以降も、アクセサリーとしてお使いいただけますよ」