「いらっしゃいませ」

 驚いてビクッとしてしまった。

 入り口の脇に、マキシ丈の黒いレースワンピースに身を包んだ中年女性が微笑んで立っていた。
 ロングの髪はゆったりと編み込まれている。

 妖しい雰囲気はない。
 でも、どこかメルヘンな感じ。
 この人が魔女?

「ご来店は初めてですよね? どうぞ中へお入りください」

 亜理紗とアイコンタクトしてから、招かれた店内へと足を踏み入れた。

 ギイ……

 板張りの床がきしんだ。
 ひゃあ、緊張してしてしまう。

「当店について説明いたしますね。当店では、まずお客様の心の内側をほんの少しだけ見させていただき、それから最適な商品をオススメする方式になっております」

 私も亜理紗も目を見開いた。

「心の内側を?」
「見るってどうやって?」

 うっすら怖くなってきた。