午後十一時。


足元の軸が定まっていない中、車が激しく行き交う道の傍の歩道を右往左往。



車のヘッドライトが眩しくて、通って行くたびによろける。


酔っ払っているわけじゃない。



ブラック企業勤めではないけど、上司や職場全体の空気が悪くて、意志の弱い俺はその餌食になってしまっただけ。


俺が声を上げれば解決する。


でも俺は声を上げられるほど強くないし、歯向かえる勇気がない。



だから逃げを選んだ。会社から逃げるだけでなく、人生から逃げる。


次の俺の人生が幸せであることを願って。