凪葵くんは優しいから、きっと話せばちゃんと聞いてくれると思う。けど、そんな凪葵くんだからこそ重たい話はしたくない。

凪葵くんを、巻き込みたくないよ…。


「そっか。全然いいよ」


「ごめんね…せっかくそう言ってくれたのに」


「いいって。もう謝るの禁止ね」


そう言って笑ってくれる凪葵くんがすごく眩しい。


「もう暗くなってきたな。帰ろうか」


「うん…」


もう少しだけ、凪葵くんと話していたいけど…私が止めるのは違うよね。


「一人で帰れる?」


「…?帰れるよ」


「送っていっちゃダメ?」


「えぇっ…!大丈夫だよ。凪葵くんだって、引っ越してきたばっかりなんでしょ?」


さすがに送っていってもらうのは申し訳無さすぎる。
それに、引っ越して間もないんだったらあちこち行くのはよくないと思う。


「そうだけど…わかった。じゃあ、またな!」


明るい笑顔を残して帰っていった凪葵くん。