「えっと…望月 結澄葉(モチヅキ ユズハ)です」


普通は、突然会った人にこんなふうに言われてたら警戒してしまうと思う。
でも、彼の優しくて明るい雰囲気はそれをなくすような感じがする。
今は、彼と話していたい…。


「結澄葉ね。俺中2だけど、結澄葉は?」


サラッと名前呼びにされて、顔が少し熱くなる。
それより、中2なんだ…。


「わ、私も中2です」


「偶然だね。だったらさ、タメでいいよ。名前も凪葵でいいし」


「はい…じゃなくて、うん。えと、凪葵くん」


そういうと、彼…凪葵くんはニコッと笑った。


「結澄葉はここよく来るの?」


「ううん、ここ、久しぶりに来たの。なんとなく歩いてたらここに来て…。凪葵くんは?」


「俺は初めて。引っ越してきたばっかだから。でも、ここ気に入ったんだ。自然はいっぱいだし 広いからサッカーもできるし」


「ふふっ、そうなんだ。凪葵くん、サッカー好きなの?」


「あぁ、小さい頃からずっとやってるから!」


さっきもサッカーボールを持ってたし、きっとすごく好きなんだろうな。

キラキラした凪葵くんの笑顔を見てると、なぜか無性に泣きたくなってきた。

好きなことを好きなだけやれる、そんな凪葵くんが、羨ましい…。