1年…?


『私あと1年しか生きられないの…?』


『…うん。だから、とりあえず移植できる可能性にかけよう?詳しいことは、また後日、ご両親もお呼びして話…』


――ガタッ。


嫌だ、聞きたくない。

先生、わたしの余命は1年なんて嘘だよね?だって、これまで私、あんなに元気だったんだよ…。


視界が、涙で滲んでいく。

私は立ち上がって病院から逃げた。


行く当てもなく、泣きながら歩いていく。

心の中は真っ暗。もうどうしたらいいかわからない。

まだ、やりたいことたくさんあるんだよ。
1年間だけだなんて、残酷にもほどがある。
どうして、私が…。


ふらふらと歩いていると、小さい頃よく来ていた公園があった。

ここ…久しぶりに来た…。

なんとなく足が向いて、公園の中に足を踏み入れた。
昔から大好きな大きな花壇のある広場。

そこのベンチに、ゆっくりと座った。

今は春だから、桜やすずらんが咲き誇っている。
来年は、ここにももう来れないかもしれないんだな…。

そう思うと、少し収まったと思った涙がまた溢れ出した。