自分で言ったくせに恥ずかしさで顔が熱くなった。


「俺もだよ」


ニコッと笑った凪葵くんに、安心と嬉しさで頬が緩んだ。

にしても、すごい偶然だな…。
もう会えないと思っていた恩人に学校で会えて、しかもクラスメイトだなんて。

びっくり…だけど、すごく嬉しい。

また会えないかなって思ってたから。


「さ、これから始業式があるから体育館に移動しましょう。番号順に並んでねー」


私の名字は望月で、凪葵くんの名字は涼風。
席はランダムに決められていたから隣だったけれど、今回は離れてしまった。

わがままだけど、もう少し話していたかったな。


「ゆーずはっ。どうかしたの?」


「彩花ちゃん…!」


彩花ちゃんの名字は南だから、私は彩花ちゃんの近く。
ぼんやりしていた私に、彩花ちゃんが話しかけてくれた。


「ボーっとしてるよ?大丈夫?」


彩花ちゃんには、余命宣告のことは話していないけど、一応心臓病だということは伝えてある。


「う、うん。平気だよ」


「ならよかった。でもさ、さっき転校生の…涼風だっけ?話してたよね。結澄葉があんな表情するなんて珍しいね」