「結澄葉、知ってる人いた?」


「ううん、去年同じクラスだった人はあんまりいないかな…」


一学年八クラスもある大きな学校だから、彩花ちゃんと一緒になれだけいいほうだよね。


「あれ、結澄葉。もうすぐ時間だよ。急ご」


「うん、行こう!」


時計を見ると、結構ギリギリ。

慌てて階段を上って教室に入った。

ほとんどの人が席についていたけど、時間はまだ大丈夫だから、セーフ…かな?


黒板に貼ってある座席表を確認して席に向かう途中、隣の席が空いていることに気づいた。

誰もいないのかな…。

隣がいないと、なんとなくさみしい。


――ガラガラッ。


「おー、みんな来てるね。このクラスの担任の、藤原です。よろしくね」


明るい先生みたいで、自己紹介からもその様子がわかる。


「さて、早速だけど、うちのクラスには転校生がいます!紹介するね。涼風くん、入って」


涼風…?

たしか、凪葵くんの苗字も、涼風だった気が…。

いや、きっと同姓なだけだよね。

珍しい苗字だから、凪葵くんのことを思い浮かべたけど、きっと違…