「…心臓移植が必要だって言われて…それで…できなければ、余命は一年だって…」


そう言ったとき、部屋の空気が張り詰めた。


「そんな…嘘、だろ…?だって、これまでの検診ではなんともなかったんだし…まだ、たったの13なのに…」


そうつぶやいたお兄ちゃんが、否定してくれというように、お母さんの方を見るけれど、首を横に振ったお母さんを見て、目に涙を浮かべた。


「…ごめんなさい」


「なんで結澄が謝るの」


「だって…私、1年で死んじゃったら…みんなのこと悲しませちゃう…」


お父さんもお母さんも、お兄ちゃんもお姉ちゃんも優しくて、たくさんの愛をくれた。
恩返しするどころか、悲しませちゃう…。


「結澄、そんな事言わないで」


お姉ちゃんが強い目で言った。


「あと1年とか、もう言わないで。結澄は移植して生きるの。そんなこと言ってたら、病気に負けるよ」


お姉、ちゃん…。


「うん…っ」


ありがとう、お姉ちゃん。