教室に入ってきた人物を見て、1人の女子が「キャッ」と小さく悲鳴を上げた。

 その声に、扉の方を見た別の女子が息をのむ。

 ざわめきがだんだんと大きくなってくる。

 ところどころはねた、濃い茶色の髪。背が高く、モデルのようにすらっとした体型。色白の肌。高めの鼻に薄い唇、そして切れ長の目。

 教室に入ってきた彼は、とても、かっこよかった。

 それこそ、お兄の数倍かっこいい。

 そんな彼は、教室中の女子の視線をさらいながら机と机の間を歩き、私の隣の席に座った。