五里先生が、怒りに任せて芽依先輩の髪を引っ張っている。

 ……いや、違う。

 五里先生は、芽依先輩の桜のヘアピンを力ずくで取ろうとしているんだ。

 止めなきゃ……!

 そう思うのに、足は動いてくれない。

 先生は、奪い取ったキラキラの桜のヘアピンを憎々しげに見た。

 「こんなもの――」

 五里先生は、桜のヘアピンを、床に叩きつけた。

 床に転がったヘアピンを、何度も踏みつける。