お兄に対する不満を心の中でつぶやきながら階段を上っていく。

 私は、学習室の前に着くと、いったん段ボール箱を廊下に置いた。

 ドアをを少し開けて――。

 「ふざけるな!」

 空気がびりびり震えるほどの大声に、思わずビクッとなる。

 誰……?
 
 そーっとのぞいてみると、2年生の学年主任の五里(ごり)先生が、こっちに背中を向けて立っていた。

 五里先生は、まるでゴリラのようなごつい体に、大きな声の、怒るととても怖い先生だ。

 いったい誰を怒っているのか……。そして何に怒っているのか……。

 ちょっと身を乗り出して見てみる。

 サイドの平べったいお団子。
 
 スタイルはモデル並み。

 キラキラのラメが散りばめられた、桜の形をしたヘアピン。

 め、芽依先輩!