むくっとベッドから起き上がり、机の上に立てかけてあるノートを手に取る。

 ベッドに戻って、枕元に置いてある電気スタンドのスイッチを入れる。

 表紙の文字が目に入った。

 『目指せ平凡! 努力ノート』

 平凡な生活を送ると決心してから、書き始めたものだ。

 平凡な人間になるための条件や、その日にやった平凡になるための努力などを書き留めている。

 パラパラとめくっていた私の手が、ぴたっと止まった。

 平凡になるための条件をまとめたリスト。そこに書かれた文字。

 『□平凡な部活に入る』

 「チェックは、入れられないな……」

 オカルト部は、平凡じゃない。むしろ、特別だ。

 私は、リストに新たな項目を追加した。

 『□オカルト部を退部する』

 その日は、疲れているはずなのに、なかなか寝付けなかった。