猿渡先生というのは、お兄がひそかに想いを寄せている、理科の先生だ。1年生を担当しているので、私も教わっている。明るくて優しい、いい先生。

 「猿渡先生も疲れただろうな……」

 私も疲れたので、もう寝ることにした。まだ寝るにはだいぶ早い時間だけど、思いがけずオカルト部に仮入部することになって、すごく疲れている。

 ベッドに入り、天井を見る。

 こんなの、私が思い描いていた学校生活とは違うよなぁ……。

 普通の成績で、普通の部活に入って、普通に友達を作る。これが、私の理想の生活。

 なのに、なんで……。

 ……やっぱり、寝られない。