「じゃあ、まず、名前とクラスを言ってもらっていいかな?」

 蘭先輩の質問に、パイプ椅子に座った有栖川さんはこう答えた。

 「有栖川 このみ。1-A。昨日新聞部に入部したの」

 「もう入部したの⁉ 仮入部は⁉」

 思わず声を上げると、有栖川さんは、得意げに言う。

 「あたし、新聞記者になるのが夢だから。仮入部なんてしなくても、心は決まってたの」

 すごいなぁ、もうしっかりした将来の夢を持っているなんて。

 私は、そういうの、全然決まってない。