とにかく。

 私が近くの中学校ではなく、通学時間30分の兄丸中学校に入学するのは、マリアナ海溝よりも深いわけがある。

 私がここで目指すのはただ1つ。


 「平凡な中学校生活」だ!!!


 「特別」なんてお断り。「平凡」がいい。

 普通の成績で、普通の部活に入って、普通に友達を作る。

 風が吹き、桜の花びらたちが舞う。

 なんだか、応援してくれているみたいだ。

 今なら、なんでもできる気がする!

 「じゃあね、お兄!」

 「おう、またあとでな!」

 お兄に手を振って、私は一歩、踏み出した。