「は⁉ おい!」

 「逃がさないよ、宇佐美さん!」

 逃がされないでたまるものか!

 逃がさないように計算されていたのか、それともただの偶然か、私は一番扉から遠い、部屋の奥のパイプ椅子に座らされていた。

 小柄な体を生かし、先輩たちをうまくかわしつつ、扉に一直線に走る。

 もう少しで扉、というところで、私と扉の間に人が立ちはだかった。

 大神くんだった。