私が寄りかかっていた扉が、いきなり勢いよく開いた。

 「ふぇっ」

 変な声が出て、私は学習室の床に思い切り顔を打ち付ける。

 「い、痛い……」

 「ごめん! 大丈夫?」

 私は、誰かに手をつかまれて、ぐいっと起こされた。

 起こしてくれたのは、ところどころはねた、ふわふわの髪が特徴的なキュートな先輩だった。上履きの色がレッドなので、3年生だ。

 「す、すみません……大丈夫、です」

 「おい! おまえ、ここで何してたんだ?」

 私を睨んできたのは、頭に猫みたいな耳がついた、「猫ヘアー」の3年生の先輩。

 ボーイッシュなシャギーショートとネクタイがかっこいい。

 ネクタイを揺らしながらこっちに近づいてくると、切れ長の目で私を見つめた。