小学校までの最悪な日々をリセットするために。

 これからの中学校生活を最高の日々にしていくために。

 私は今ここに立っている。

 家から徒歩30分の、今日入学する、兄丸中学校の校門の前に!

 「……実々(みみ)

 兄・宇佐美 遊兎(うさみ ゆうと)が私に呼びかける。

 「いいんだな? ここに通うってことで」

 「うん」

 私はうなずいた。

 「もっと近くの中学じゃなくて?」

 「うん」

 またうなずく。

 「そうか。やっぱり実々は俺のことが大好きなんだな!」

 「それはない」

 その質問にだけは全力で首を横に振った。