「いっくよ〜! ワン、ツー!」
夏休みが明けて2学期がやって来た。
暑さは夏休み中とさほど変わらず、汗を滲ませながらプレハブ小屋で練習……。
だが、今日の部活はいつもと少し違う。
今日の練習にはギャラリーが居る。
内山先生が最前列に立ち、後ろには校長先生。そして、文化祭実行委員担当の先生まで。
総勢6人の先生が俺らの演奏を聴きに来ていた。
いつも通り莉奈先輩の掛け声と、力強いバスドラムの音で曲が始まる。
プレハブ小屋を振動させる莉奈先輩の8ビート。
それに乗っかるように、低く優しく響き渡る神崎のベース。
内山先生もビックリの速弾きを披露し、ギターを大暴れさせる明梨ちゃん。
高く跳ねるような音を奏でる、大哉先輩のキーボード。
そして、それら全ての音の真ん中で全体をまとめる、俺のギターによるストローク。
今から披露する曲は、この夏休み中に5人全員で一生懸命に製作した……俺たち桜川高校軽音部のオリジナル曲だ!!
俺が考えた詩を基に皆で意見を出し合って考えた歌詞。
それに合う素敵なメロディーを作ってくれた大哉先輩と神崎。
そして……各自、自分のパートの譜面を作った。
良くできたと思う。
長いようで短い夏休みのうちに、よく1曲作り上げたと思う。
俺ら5人の力作。
各々が楽器の音色に思いを乗せて。
届け、校長先生の元へ!!
『 夏の音色が 永遠に響く
暑い太陽が照らす 真っ青な空に
先輩と後輩 二人の恋慕
君と奏でる 僕らだけの “青春の唄” 』