「マリーベルお前の婚約者が決まったよ」

14歳の秋、私、マリーベル・アクエリアは父であるアクエリア辺境伯に呼ばれ婚約者の話しを聞かされた。

「一体どこの物好きですか?」

今まで婚約者が居なかったのはここが辺境でありアクエリア辺境伯領の異名は魔物の壁。

王国の魔物退治を一手に引き受けている。数十年に一度起こるモンスターパレードを防ぐために辺境伯領はあるのだ。

故に、領民たちはみんな歩けるようになると武器をもつ。

勿論、私も。この傷だらけの女を娶りたいという貴族なんているはずない。

小さい頃、なんどか貴族令息とお見合いのように会う機会はあった。

会ってもその次がなかった。

「傷だらけの女の子は嫌だ」

と小声で言っていたのを聞いた。

「エアリーズ公爵家の嫡男ウィルキス様だ」

よりによって公爵の嫡男とは、まだ次男三男ならまだしも、嫡男とは…。