「確かに私は本家の当主の命令で結婚を強いられていました。でも、あなたをみた途端、諦めの感情が出ていました」

どうやら見抜かれていたらしい。

「私は一番末っ子として生まれました。上の兄や姉たちは優秀です。私だけ、何をやっても中途半端で何も才能がありませんでした。だからせめて、家の役に立とうと、結婚を決めました」

それを聞いていたローラン様が優しく笑った。

「あなたは才能がないのではありません。なんでもそつなくこなしてしまうため、目立った特技がないのではないですか?ですが、それも立派な才能です。なんでもそつなくこなすと言うのは、なかなかできることではありませんからね」

確かに思い返してみれば、私には学園の授業で難しいと感じたものがなかった。

「それは、あなただけ待つ特別なものですよ」

今までこんなことを言ってくれた人はいなかった。

私はこの人と婚約してよかったと心から思った。

「でもどうして、そんなことが言えるんですか?」

ローランと会ったのは今日が初めてだ。

私の学園でのことを知っているはずがない。

「実は一度、学園にいったことがあったので、そこであなたのことを聞いたのです」

もしかしたら、私たちは元々出会う運命だったのかも知らない。