暇だわと後宮の庭を散歩する。生きていて、初めて、こんな暇な時間を過ごしているのではないだろうか?でも悪くはない気がしてきた。
庭園は散歩にちょうどいい。なぜなら体を動かさないと昼寝ができない。これは昼寝のための散歩だ。
アナベルは忘れた日傘を取りに行っている。私は日傘はいらないわと言ったのに……。
アナベルは茶色の編み込んだ髪をまとめ、そばかすのある可愛い人だ。しかしそのそばかすをとても気にしているため、日焼けには敏感なのだった。
壁に囲まれた後宮なのよね……ちょっとした私は気まぐれだった。キョロキョロ見回し、確認。周囲は誰もいない。魔法を久しぶりに使う。階段のような見えない段を作る。トントンと足取り軽く上り、高い塀からそーっと外を除いた。そこには王宮の廊下が見えた。働く人たちが足早に歩いている。
あれは?本をたくさん抱えて出てくる部屋。まさか、図書室!?本が読みたい!王宮の図書室なんて絶対に貴重な本だらけじゃない!?
私は気持ちがザワつく。
アナベルが心ここにあらずな私に首を傾げた。
不都合あれば言ってほしいという王宮付きのメイドが日に一度やってくる。私は思わず口にしてしまう。
「あの……図書室で本を読む許可はおりませんか?」
「えっ?……はぁ!?」
驚く王宮付きのメイド。王宮付きだけあって、メイドの教育は完璧だ。いつも淡々と仕事をこなしている。そんな聞き返し方を相手にしたことがなかっただろう。しかし私の頼み事は彼女の意表をついたらしく、驚きの声があがった。
「図書室の使用は上の者に聞いてみなければわかりません」
「使いたいの。お願いできないかしら?」
かしこまりましたと礼儀正しく、すぐに否定はせず、去っていった。アナベルが額を抑えている。
「お嬢様?勉学はお辞めになったんでしょう?」
「三食昼寝付きに、本を読みながら、ゴロゴロするのを追加したいの」
「お嬢様の本好きは存じてますが、後宮から少し出ることになりますから、許されないとは思いますよ」
確かに、後宮から出ることになるからと却下されると思った。しかし陛下が、たまたまメイドとお世話係の会話を聞いていて、許可してくれたらしい。
私はギクッとし、一瞬焦る。目立ってない……よね?なぜ陛下がその場にいたの!?私の読みが外れたの?絶対に後宮に興味なさそうだと読んでいるのに。
情報が少なすぎて、不利だわ。しかし読書は私の怠惰モードに必要だ。陛下は気まぐれに許したのかもしれないが、感謝の気持ちが沸いた。
人の出入りのない朝と夜の時間を限定したものとなったが、私は喜んだ。
図書室の司書は一人いて、長い黒髪を一つに束ね、眼鏡をかけた青年だった。
「奇特な王妃候補様も居たもんだ。本を読むなんてね。王様を喜ばせるための勉強でもするのかい?」
クスクスと笑われる。しかし、その十分後に笑みは消えた。私が本をドサッと置く。
「じゃ、これだけ借りてくわ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!?これを君が読むのかい!?」
「そうよ?何か問題ある?夜にまた来るわね」
「読み終わるのか!?この本、どれもこれも難解なものばかりじゃないか!?無理だろう。一週間後でも読み終わるかどうか……」
私は、時間が惜しいから、早く!と青年に言う。戸惑いながらも貸し出してくれる。
部屋に帰って早速読む。
「お嬢様の読書の暴走が始まってしまいました……お嬢様、お願いですから、最低限のお食事、お風呂はしてくださいよ!?」
アナベルの声は遠く、私はソファに座って本を読み始めた。本さえあれば、後宮で過ごすのも悪くないかもしれないわ!
庭園は散歩にちょうどいい。なぜなら体を動かさないと昼寝ができない。これは昼寝のための散歩だ。
アナベルは忘れた日傘を取りに行っている。私は日傘はいらないわと言ったのに……。
アナベルは茶色の編み込んだ髪をまとめ、そばかすのある可愛い人だ。しかしそのそばかすをとても気にしているため、日焼けには敏感なのだった。
壁に囲まれた後宮なのよね……ちょっとした私は気まぐれだった。キョロキョロ見回し、確認。周囲は誰もいない。魔法を久しぶりに使う。階段のような見えない段を作る。トントンと足取り軽く上り、高い塀からそーっと外を除いた。そこには王宮の廊下が見えた。働く人たちが足早に歩いている。
あれは?本をたくさん抱えて出てくる部屋。まさか、図書室!?本が読みたい!王宮の図書室なんて絶対に貴重な本だらけじゃない!?
私は気持ちがザワつく。
アナベルが心ここにあらずな私に首を傾げた。
不都合あれば言ってほしいという王宮付きのメイドが日に一度やってくる。私は思わず口にしてしまう。
「あの……図書室で本を読む許可はおりませんか?」
「えっ?……はぁ!?」
驚く王宮付きのメイド。王宮付きだけあって、メイドの教育は完璧だ。いつも淡々と仕事をこなしている。そんな聞き返し方を相手にしたことがなかっただろう。しかし私の頼み事は彼女の意表をついたらしく、驚きの声があがった。
「図書室の使用は上の者に聞いてみなければわかりません」
「使いたいの。お願いできないかしら?」
かしこまりましたと礼儀正しく、すぐに否定はせず、去っていった。アナベルが額を抑えている。
「お嬢様?勉学はお辞めになったんでしょう?」
「三食昼寝付きに、本を読みながら、ゴロゴロするのを追加したいの」
「お嬢様の本好きは存じてますが、後宮から少し出ることになりますから、許されないとは思いますよ」
確かに、後宮から出ることになるからと却下されると思った。しかし陛下が、たまたまメイドとお世話係の会話を聞いていて、許可してくれたらしい。
私はギクッとし、一瞬焦る。目立ってない……よね?なぜ陛下がその場にいたの!?私の読みが外れたの?絶対に後宮に興味なさそうだと読んでいるのに。
情報が少なすぎて、不利だわ。しかし読書は私の怠惰モードに必要だ。陛下は気まぐれに許したのかもしれないが、感謝の気持ちが沸いた。
人の出入りのない朝と夜の時間を限定したものとなったが、私は喜んだ。
図書室の司書は一人いて、長い黒髪を一つに束ね、眼鏡をかけた青年だった。
「奇特な王妃候補様も居たもんだ。本を読むなんてね。王様を喜ばせるための勉強でもするのかい?」
クスクスと笑われる。しかし、その十分後に笑みは消えた。私が本をドサッと置く。
「じゃ、これだけ借りてくわ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!?これを君が読むのかい!?」
「そうよ?何か問題ある?夜にまた来るわね」
「読み終わるのか!?この本、どれもこれも難解なものばかりじゃないか!?無理だろう。一週間後でも読み終わるかどうか……」
私は、時間が惜しいから、早く!と青年に言う。戸惑いながらも貸し出してくれる。
部屋に帰って早速読む。
「お嬢様の読書の暴走が始まってしまいました……お嬢様、お願いですから、最低限のお食事、お風呂はしてくださいよ!?」
アナベルの声は遠く、私はソファに座って本を読み始めた。本さえあれば、後宮で過ごすのも悪くないかもしれないわ!