なんやかんやで、入学してからもう一週間経った。


未だに、あたしの隣の席の桶川悠佑ちゃんが来ていない。


隣いないって寂しいから早く来てほしいなあ。



「美嘉、弁当食べよ。今日のゲストははるちゃんやで!」


そう言って紗雪は、隣にいるはるちゃんこと大熊(おおくま)陽咲(はるさ)をじゃーんと言ってみせた。


「おー!豪華なゲストじゃん」


あたしがそういうと、はるちゃんは「ありがとー!」と、明るく笑った。





弁当を開けようとしたところで、ふと気がついた。


「ね、あたしさっきの授業のとき筆箱忘れてきたかも」


「さっきの授業って美術だっけ」


「うん」


すると紗雪が顔をしかめた。


「美術室遠いからなあ。うちも一緒に行こか?」


それだとはるちゃんが一人になるし、それではるちゃんにも紗雪にもついてきてもらうとなると、ちょっと申し訳ない。


「大丈夫、先に弁当食べてて」


「おっけーい」