クールな彼は、私にだけ甘々です。

も、もしかして、名前がどうとか言われるの、やだったのかなぁ…?

「っ、ごめんなさいっ。名前がかっこいいとか言われるの、不快でしたか…?」

怒られるっと思い、覚悟したけど、私に怒りの声が降ってくる事は無かった。

逆に、とても優しい声が降ってきた。

「違う、怒っていない。勘違いさせてすまなかった。俺に名前がかっこいいと言ってくるやつが珍しくてな。俺は容姿がかっこいいとばかり……」

顔を曇らせた伊集院さん。

……嫌なことが…あったのかな。

「確かに、容姿もかっこいいと思いますっ!…でも、私は、中身もかっこいいと思いますっ」

そしたら彼は、ピタッと止まってしまった。

そして彼は、少し頬を赤くさせ、

「そう言ってくれて嬉しい」

と、言ったのだ。

ドキッと胸の高鳴りを感じた。

これは…なに?

この感情が恋だとは、まだ私は知らなかった。

「では、授業も後半に入ったので、perfectgirlに挨拶をしていただこう」

パチパチと拍手が鳴る中、私と、もう一人、葉蘭 小姫ちゃんが前に出た。

「えへへっ、拍手どーもありがとぉ。perfectgirlに選ばれましたぁ♡葉蘭小姫でぇす。みなさん、よろしくねぅ?」

可愛らしい自己紹介だなぁ…

そう思ったのはわ私だけでなく、

「小姫ちゃんっ、可愛すぎだろ?」

「俺、小姫ちゃん推しになるわぁ」

なんて声が聞こえた。

ふふっ、小姫ちゃん人気だねっ

微笑んでいる私に、小姫ちゃんが鋭い視線を向けているとは知らずに。

わ、私の番だ…っ

頑張らなきゃっ!

「みなさん、こんにちはっ!perfectgirl?に選ばれました。小夜花鈴ですっ
まだいきなりで、何をするのかは、私には分かりません。
だけど、選ばれた以上、どんな役割でもきちんとこなしたいと思いますっ!よろしくお願いしますっ」

「うっ…この健気さがぐっとくるっ、可愛いっ」

「ピュア……守ってやりたくなるよ」

「小姫ちゃんもいいけど、、花鈴ちゃん派だわ、俺」

「いやそれなぁー」

緊張しすぎていて、そんな会話は私には聞こえていなかった。

席について、ぐっと拳を堪える。

き、緊張したぁ…そのあとはぐったりしすぎて、何をしたか覚えていなかった。
「うっ…疲れたなぁ…」
青学初めての授業で、緊張もあったからか、ドッと疲れがきた。

んっ、今日はゆっくり休憩して、明日に備えようっ

ふぁ〜と欠伸をして、今日一日どれだけ疲れたのかが分かった。

お風呂も入って、夕食も済ませたから、寝ようっと思ったけど、少し気分転換のために、外に出たいなぁと思った。

ーーガチャッ

玄関を出た先に、来たのは中庭だった。

この学院の中には、色とりどりで綺麗なお花が咲いているから、今日、素敵だなぁって思ったんだぁ。

花を見て楽しんだ後、寮室に入り、ゆっくりする予定だった。

のだが……。

「う、そっ…」

私の寮の前で、人が倒れていたのだ。

どっ、どうしようっ。

って、悩んでいる暇なんてない!私の寮室に彼を入れてあげようっ!

と思ったけど、

「っ、、重いっ」

そりゃぁ男の子だから重いと思うけど……。

はぁ…はっ、ふぅ、

凄い力を使って、なんとか私の寝室のベットまで行かせられた。

もし私が熱を出した時のためにと思い、買っておいたセットを用意する。

氷枕に、冷えピタ。それに、ゼリーも。あ、おかゆも作っておかなきゃっ!

バタバタと行動していて、おかゆが作り終わった時に、ふと、目を覚ました。

「大丈夫⁈目を覚ましたっ‼︎って、伊集院さん!」
なんと、運んだ病人さんは、伊集院さんだったのだっ。

って、気づかない方がおかしい、かな。

起きたから、バタバタと次の用意をした。
……あ?

目覚めたら、何故か小夜の部屋にいた。

頭に冷えピタついてるし、氷枕用意させてるし、って、ゼリーまで。

これは、一体どう言うことなんだ?

まずなんで小夜が俺を運べたんだ?

そんなことを考えていたら、小夜が戻ってきた。

「大丈夫⁈目を覚ましたっ‼︎って、伊集院さん!」

なんだ…?その言い方だと、俺だと気づいていなかった感じだ…。

小夜に話しかけようと思い、近づいた。

だが、小夜は慌ててどこかへ行った。

戻ってきたかと思えば、新しい氷枕を用意してくれて、体温計まで持ってきてくれた。

「はい。計りますね。ーーピピッ
え?!38.9もありますよ⁈ゆっくり、安静に!しててください。今、お粥持ってきますから。」

「ほら、食べて。熱がある時ほど食べた方がいいんですよ。」

この状況に、頭の中がはてなマークになった。

小夜はどうして、俺に構うんだ?

頭の中では、なんだコイツと思っている。

だが,心の中では、心臓がバクバク言って、うるさかった。

ふぅ、なんとか処置ができてよかったぁ〜

伊集院さんが倒れ込んでから約3日、ちょうど学校がない休日だったので、つきっきりで看病をした。

おかげで、熱も下がって、あと少しで復帰できそうだっ。

「あっ、伊集院さーん!ゼリー食べますか…んぐっ」

へ…っ?

今、どう言う状況なの…?

私が、ゼリーを私に行こうとしたら、目の前に伊集院さんが居た。

そしたら突然、唇に熱が……。

あっ、そっか…私、キスされてるんだ。

……え?誰に?

伊集院に!?
「ちょっ!なんですかっ!こんな事ダメですんぐぐっ、」



手を取られて、伊集院さんに全てを操られている形になった。


「んっ、はぁ、っ、ふぁ…」


あまりに変な声が出て、涙目になる。


伊集院さんっ、熱でおかしくなったの?

ねぇ、どーしたの?

最後の力を振り絞って、ドンっと伊集院さんを突き飛ばした。

「伊集院さん、こんなことするなんてっ、ひどいですっ」



そう、告げてから。

はぁ……はっ、はぁ、、

走って、中庭まで来た。

「っ……私、伊集院さんに、酷いこと言っちゃったっ」

伊集院さんのことを考えると、頬がぼぼっと赤くなった。

い、伊集院さんが、き、急に、キスなんて、してくるからっ……。

でも、一回謝って、許してもらいたいっ。

私、ひどいなんて、さい、てい、なっ、こと、言っちゃった。

も、う、ゆる、して、くれないかもっ…

そう思うと、すごく辛くて、悲しくて、泣くのをやめられなかった。

私の寮室、202号室まで来た。

伊集院さん…いるかなっ…?

そう、淡い期待を抱かせながら、寮室へと入った。

……………

そう、だよね。

 そんな簡単に会えるわけない。

ごめんなさいも、言えなかったかなぁ。
そして迎えた月曜日。

っ……やっと来れた。

伊集院さんは来ないのかなぁ…と、あたりを見まわした。

いない…っ

ずぅーんと気持ちが下がる。

ごめんなさい、伊集院さんっ

涙目になりながら、そう、心の中で呟く。

「っ……伊集院さん」

会いたいっ……。出会ってまだそんなに経っていない。

けど、大切な存在に、なりかかっていた。

「なんだ?伊集院さんって、泣きながら」

ニヤッと笑いながらこっちへ来た伊集院さん。

「っ、あ、あのっ、放課後、話しましょう?」

そう、告げたのであった。
やっと迎えた放課後。

伊集院さんだっ

その顔を見れるだけで、ないはずの尻尾がふるふる振っているのを想像して、クスッと笑った。

「伊集院さん……。この前は、ごめんなさいっ」

許してくれないかもしれない。

もう、話してくれないかも。

だけど、私は、謝りたかった。

「っ……え?なんで小夜さんが謝ってんの?俺が悪かったんだよ?」