「妹があんなことになって、それは妹の弱さもあったのかもしれないけど、これは殺人だったと思ってる。おかしいよね、騙して弄んで、生きていけなくなるくらい傷付けても相手は何の罰も受けずにのうのうと生きてる。法で裁けない悪だよ。許せないよ。でも、凛ちゃんには負けてほしくない。今の辛さがこの先続くことなんてないと信じてほしい。これは乗り越えられると思ってほしい。あんなに凛ちゃんのこと思ってるさゆりちゃんだっているんだから」
私は何度も頷いた。
彼からの連絡が途絶えてからの日々を思えば彼のことを考えない時間はきっと増えている。頑張って忘れるなんて今まで経験した事がないけれど、頑張ろうと思っている。
「俺にできることなら何でもするから、何でも聞かせてほしい」
本当に、こんなことで、といつか笑い話にしよう。今はまだまだ先は見えないけれど、このまま彼を忘れずにいて何になるというのだ。
フロントガラスから見える星は青く光っていた。冬の空は星を綺麗に見せてくれる。
この星空を彼と見たいと刹那に思ってしまう。そんな心をこの先何度も殺していけばきっと忘れられるはずだ。
これが最良の選択なのだと何度も言い聞かせる。