「いいじゃん、もう喧嘩別れしたんでしょう?
早川くんがキスしてくれたら真田さんにはなにもしないよ」
私女子の中だったら権力あるし、と得意げに言う山田さんに俺はあからさまに顔をしかめる
俺のせいで綴ちゃんが危ない目に遭うかもしれないことはわかってた
昔、それで大変な時期があったから
だから今まで俺達は幼なじみだということを隠してたんだ
俺の勝手で公表して綴ちゃんを危険な目に合わせるかもしれないことを避けたかった
好きでもない女の子にキスすればそうならないなら、要求を飲むのが俺の責任だと思ったんだ
山田さんにキスしようとした時、残り数センチの所で綴ちゃんと目が合った
きっと、綴ちゃんは俺達がキスしてたって勘違いしてるんだろうけど