「焼肉はいつでもいいけどさぁ
はーあ、うちのクラスにも早川王子がいたら絶対勝ってたのに…」
「まぁ、使える武器を最大限に使ったA組の勝利ね」
確かに響くん目当ての行列はすごかった
芸能人の握手会かと思うくらい長蛇の列だったもん
さすが響くん
王子キャラは未だに健在みたい
「そう言えば、早川王子の噂知ってる?」
「え…?噂?」
項垂れていた茜が顔を上げて私に詰寄る
なにそれ…?
また誰かに告白でもされたのかな…?
「うん、なんか早川王子が女の子相手に脅し掛けたらしいよ
綴なら知ってるかなって思ってさ、どうなの?」
「お、脅し!?」
な、何事なの!?
響くんがそんなことする訳ないよっ…
えええ、と予想もつかない話に目が回る
「なんで早川王子が女の子脅すのよ」
「詳しくは出回ってないんだけど、脅された子もうあのカップルには何もしない方がいいって震えてたんだって…」
怖いよねぇ、なんて他人事のように言う茜に私は脳裏に文化祭での出来事が蘇ってしまった
…ま、まさか響くん山田さんに?
もしかしてそれで最近誰も私の所に来ないの!?