「分かりました、分かりましたから⋯では2人だけの時だけ呼ばせて頂きます、陽谷様。⋯そろそろ本当に起きないと、家臣の皆さんが困っていますよ?」

私が故意に頬を赤らめるとそれを見た陽谷様は少し笑った。

「お前がそこまで言うなら今日はもう行くか⋯今晩また来るな?愛琳」

陽谷様は私の額に口付けると寝台を出た。大勢の家臣を引き連れて帰って行く陽谷様を見送り、私もお茶会の準備に入る。許貴妃様のお住いは鵲宮という鳥をモチーフにした宮だ。朗らかな性格ということであまり心配はしていないが、内に秘めているものは分からない。今日はそれを見破れたら収穫だろう。私は数人の侍女を引き連れ、鵲宮に向かった。

「李徳妃様ですね、ようこそ鵲宮へ私許貴妃様に仕えている侍女でございます。ご案内致しますので、どうぞ中へ」

そう言われ、鵲宮の侍女に着いて行く。全体的に赤を基調とした国風文化が全面に出た部屋に愛国心が伝わる。