「主上、!もう朝でございます、今日の仕事も溜まっている故、起きてください!」

そんな家臣の言葉に目が覚めた。寝惚けて回らなかった頭、開かない目も少し経つと段々良くなっていく。

そこで私は漸く自分が陛下の腕の中に居ることに気がついた。その間も家臣達の声は止まらない。ここは起こした方がいいのかもしれない。

「陛下?もう朝ですよ?」

私が腕の中でそう言うと陛下が目を覚ました。

「まだもう少し寝てよう⋯愛琳」

陛下は私のことをより一層抱き締めまた眠りにつこうとする。

しかし、それを寝台の外で聞いていた家臣達が黙っているはずもなかった。

「主上!起きたのなら出てきてください!」

その後も続く家臣達の声に聞いているこちらが申し訳なくなる。

私もこの後、許貴妃様とのお茶会があるためここで沢山時間を使う訳には行かなかった。

「陛下、そろそろ起きましょう?」
私が顔を覗き込むと陛下は渋々起き上がる。

しかし起き上がったかと思えば、寝台の上に座っていた私を後ろから抱きしめた。

「!⋯陛下!?」

私は急いで掛け布団を引き上げた。

「陽谷、陽谷と呼べ、愛琳」
陛下は私の首筋に顔を埋めた。こそばゆさを感じながらも私は驚いた。

主上の御名前を呼ぶなど言語道断、恐らく貴妃でさえ呼んでいないだろう。しかし主上の御言葉を無下にもできない。この場合どうするのが正解なのか。