そして、今は。



佐野くんに集中するんだ。



佐野くんの目を真っ直ぐ見て。



佐野くんみたいにぐっと力を入れて。



ごめんなさいとはっきりと。



いつもの私みたいに曖昧な言葉で返すなんかじゃなくって。



しっかりと好きな人がいるから、と。



そう口にしようと思った。



「ごめ」



ごめんなさいと言おうとしたその時だった。