そうして一夜明けた日曜日の今日。

アプリのアイコンを半ば緊張気味にタップして、画面右上の新着ボタンから内容を確認する。


「……“あなたの投稿したスレッドを見たユーザーからメッセージが届いています”」


――!!

無意識のうちに声に出して読んでいた私は、少し遅れて言葉の意味を理解し瞬時に浮き立つ。


そのままメッセージ一覧画面に移動操作すると、猫のアイコンが可愛らしい“HIRA”という女性ユーザーからこのようなメッセージが届いていた。


《はじめまして。HIRAと申します。あなた様の投稿を拝見し、一度お話を伺いたくご連絡いたしました》

最初にそうした挨拶から始まったメッセージの文章はとても丁寧で、それだけを見ると信頼のおける良識的な印象を抱く。

《私は仕事の傍ら、休日に保護猫活動のお手伝いをしている者です。まずは、高校生という若い身で迷いなく猫ちゃんの命を助けていただきありがとうございます。
病院に預けていた猫ちゃんの退院が迫っていること、里親探しの成果が出ず行き詰っていること、あなた様の状況を知り、私が所属している保護団体の手を借りることができないか、代表の方に確認を行いました》


――昨日の内に相談して今朝には許可が下りたので、その退院の日に、よければ私も同席させていただけないでしょうか。


そう締めくくられたメッセージ全文に目を通し、少しだけ複雑な心境になる。

この人自身が里親候補として名乗りをあげてくれたわけではなかった。


だけど、このまま私が勝算の薄い無謀な策を打ち続けていても、猫ちゃんの退院はすぐ目前まで迫ってしまっているし、神代家で飼えない以上は打つ手がない。

私は覚悟を決めて頷き、送られた長文メッセージの返信枠にカーソルを持っていって文字を入力し始めた。


“詳しくお話を聞いてみたいです。退院の日時は――”

そうして、細かな日付と時間、病院の名前を明記して、“送信”ボタンに力を込めたのだった。