「んーと、アタシらの席はーっと……。って、何だよ出席番号順じゃねーか。つーことはクロのヤツ、あの席、ソッコー他の誰かに替わってもらったな?」

ふと、エレナが自身のスマホを怪訝そうに見つめながらそんなことを呟く。


「座席がスマホでわかるようになってるの?」

「ああ、アプリのマイページにアップされてるだろ?座席表のPDF。あとこのQR読み込んでもわかる」


彼女は黒板――ではなく、ホワイトボードを電子化したデジタルボードの中央に表示されているQRコードを指さして、顔だけ私へと振り返りそう言った。


「っていうかすごいね。この学校、黒板までデジタル化してるんだ」

「おうよ!チョークじゃねーから手も汚れねーし、ボタンひとつで綺麗になるし、割かし使い勝手良いんだよなー」


さらには、ワンタッチで消した文字すら元に戻せて、入力内容は画像データとして即時保存も可能。生徒ひとりひとりに配布されるタブレットと連動していて、手元でデジタルボードの内容を確認しながら授業に出たり、動画として後から見返すこともできるのだという。

設備にお金かけ過ぎじゃない……?


私は想定以上の科学の進化に若干気圧(けお)されながらも、自分のスマホでQRコードを読み込みそこに目線を落とした。

ホーム画面が直ちに切り替わり、先ほど白亜くんから共有されてダウンロードしておいた東蘭アプリが立ち上がった。その後すぐに座席表PDFが表示され、自分の名前を探していく。

席は男女混合で私は12番のため、廊下側から3列目の前から2席目だ。

エレナは26番のため、私とはそれなりに距離がある。