「あらぁ。なーちゃんったら、体調でも悪いの?お薬用意しましょうか?」

「あ、いえ、大丈夫です。すみません、心配かけちゃって……。白亜の言う通り、今日は少し早めに休ませてもらいますね」


私たちの会話を傍で聞いていた聖さんと凛々子さんは、心配そうな面持ちで私の顔を覗き込もうとする。

額に手を当てられそうになるのをやんわりと避けて、そのままひとり席を立った私は、まだおかずの残ったままのプレートにラップをかけようとキッチンのそれに手を伸ばした。


「あらいいのよ!後は私がやっておくから、なーちゃんは早くお風呂に入ってゆっくりなさいな」

「え、でも……」

「凛々子の言う通りだよ、菜礼ちゃん。確かにここの所ずっとバタバタしていただろうし、疲れが出て来た頃なんだろう。後のことは任せて部屋に戻りなさい。必要なら薬も届けるから」


なんだか思った以上に心配させてしまったらしい二人に、私は心の中で謝罪をしてペコリと軽く頭を下げる。


「わかりました。お言葉に甘えます。凛々子さん、今日も美味しかったです。ごちそうさまでした。明日の朝はちゃんと朝食の準備手伝いますね」

「ふふ、お粗末様でした。調子が悪いときは無理せずに休むこと!頑張りすぎずに時にはしっかり休息をとることも健康のためにはすごく重要なのよ?」

「はーい」


後半、口を尖がらせて「もう!」と可愛く怒る凛々子さんに素直に頷いて、私は手を合わせた後ひとり部屋へ戻る。

白亜たちが夕食を食べている間にシャワーを済ませて、もう休んでしまおう。


黒芭くんとは直接何かがあったわけではないけど、元より彼からは良く思われてないし、それに頭が良くて鋭いから、私が変な態度をとることで何かに勘付いてしまうかもしれない。


私は自室に戻り次第、すぐに替えの下着とパジャマの用意をして、脱衣所へ向かった。