「槙田ちゃん、警戒心が強そうであんまり話しかけられなかったんだけど、失恋したならワンチャンいけるかなって、口説きにきました」

私の視線を捉えてそう告げる大西くんの瞳は、とても綺麗だった。

奥二重の切れ長の目。こちらをみる視線にはどこか色気を感じる気がするのは、口説きにきたなんて言われたからだろうか……。


「振られたこと知ってるなんて、もしかしてずっと私たちの話、聞いてたの?」

「うん。だって俺、向かいに座ってたし。ていうか飲み会の時はいつも槙田ちゃんの向かいにいてチャンス伺ってたの、知らなかった?」

「し、知りませんでした……」

「まじか…。まあ、眼中にないことは分かってたけど、ちょっとショック」


へらりと笑う大西くんは、本心なのかそうじゃないんだか、少し分かりにくい。

でも、なんとなく。もしかしたら都合のいいように解釈してるだけかもしれないけど、ショックなのは嘘じゃない気がした。