大西くんの観察に夢中になっていると、後ろからトントンっと肩を叩かれた。

振り向くと、そこにいたのは……。


幸人(ゆきと)先輩?」

「やっほー、茉莉花ちゃん」


キラキラと輝き、眩しいくらいの爽やかな笑顔で声をかけてくれたのは、サークルの先輩の幸人先輩。この先輩が、私の好きな人。

休日なのに会えるなんて、なんて幸せなんだろうって言いたいところだけど、今ここで先輩に会うのはちょっとまずい。


「茉莉花ちゃん、一人?」

「いや、あの、待ち合わせをしていて!!」

「そうなんだ。あ、今度は俺とも映画を観に行かない?昨日の話も、改めてしたいし……」


少し照れくさそうに、はにかんだ先輩。

昨日の夜、前向きに考えてくれると言った言葉は、夢ではなかったみたい。

先輩があまりに照れくさそうにしているから、こっちまで恥ずかしくなって……。

今の私、絶対に顔が緩んで、気持ちの悪い顔をしていると思う……!