沙夜(さよ)ちゃん、今夜はやけ酒だよ〜〜!」

ぐび、ぐびっと、手にしたグラスの中身を一気に流し込み、早くも5杯目を空にした午後7時。


「いや、茉莉花…、それノンアルだし…」

「パパに、外でアルコールは摂取したらダメって言われてるんだもん」


ゼミの飲み会でやけ酒して、全ての記憶を消し去りたい気分だけど、お酒を飲んだらダメというパパとの約束を守っている。

だって、約束を破ってパパを悲しませるわけにはいかないでしょう?


「茉莉花のファザコンは両思いだもんね〜」

「……りょう、思い……」

「あ、ごめん。地雷踏んじゃった」


親友の沙夜ちゃんの口から出た、両思い、という言葉に、がくりと項垂れる。

だって私は、ちょうど2時間前に、片思いをしていたサークルの一つ上の先輩に、告白をしてフラれたところだから……。