確かに川での自分の行動を思い返すと、そう思われても仕方のない言動をしていたかもしれない。
 ならば一先ず、誤解は解いておいた方がいいだろう。

「エリス、まず言っておく。俺は君とリアムの仲を疑ってはいない。俺は君が不貞を働くような女性だとは思っていないし、そもそもあいつ――リアムは俺の古い友人で、今日俺は君と会う前に、リアムと会う約束をしていたんだ。まあ実際は、川に落ちた子供を救出していたからか、待ち合わせ場所には現れなかったが」
「……!」
「つまり、俺は君が、俺との約束を破ってリアムと祭りを回ろうとしていたなどとは少しも思っていない。――のだが、これでその誤解は解けたか?」
「……っ、で……でも……、だったら、どうして殿下はずっと……」
「ずっと……何だ?」
「ずっと、怒っていらしたでしょう?」
「……!」

 エリスは声を震わせて、それでも、必死に訴える。

「わたくしは、殿下がわたくしとリアム様の仲をお疑いになっていて、だからずっとご機嫌が悪いのだと思っていたのです。馬車の中でも、部屋に戻るまでもずっと、殿下はわたくしをお放しにならなかった。わたくしはそれを、『罰を与えるために逃がさないようにする』ためだと思っておりましたのに……」
「――!? なぜそうなる!? 俺はそんなに非道な男に見えるのか!? ……いや、見えるか。……見えるんだろうな……」

 これは他にも色々と誤解されていそうだ。
 一刻も早く食い違った部分を洗い出し、誤解を解かなければ。