そして、迎えた昼休み。


「でー、佐伯くん、連絡先交換しないー?」

「えー!私も!」

「……無理、俺好きな人いるから」


女子たちに、そっけなく接している佐伯くんは、なぜか私の方をずーっと見てくる。


「ね、由貴ちゃん」

「え?」

「え!!由貴ちゃんが好きなの!?」

「やばー!でも由貴ちゃんなら“仕方ないかぁ”諦めよ!」


……また、私をバカにするような態度。

ちょっとお嬢様だからって、調子乗ってるって思われてるんだろうなぁ。


「……何その言い方。由貴ちゃんが好きなの、だめなの?」

「えっ、そ、そう言うわけじゃなくてね。ほら、この子顔いいしお金持ちだから……“それ以外に何にもないんじゃないかなーって”」

「きっと由貴ちゃんが俺のことを信頼してくれないのも、君たちのせいなんだね」


それだけ言った佐伯くんは、私の手を握って引っ張っていった。


教室から出て、長い廊下を歩いて。屋上に着いた。


「……由貴様、大丈夫?」

「……うん、気にしてないよ。いつものことだから」