翌日。
高2になって、3ヶ月。
友達の萌歌(もか)とおしゃべりをしながら、萌歌が気になっているという、
「稚隼(ちはや)っていう…あの男子ね、クールで無口なイケメン。笑った顔は、親友の大和(やまと)しか見たことないんだって。友達もあんまりつくらない派でしょ。なんか、ミステリアスな雰囲気がいいよね」
「ふーん。そうかな?」
そのとき、私は興味なかったんだ。
楽しそうに話すイケメン好きの萌歌の話に適当に相槌をうち、私はぼんやりと他のことを考えていた。
でも…少しずつ、目で追うようになり始めた。
そんなことが続いたある日、
「あぁぁあっ⁉︎」 
今日はあれっぷのライブチケット発売日‼︎
急いで帰って並ばなくちゃ‼︎
「茉白、今日はその、あれっぷ?のライブがなんとかかんとかだったよね。それで今、変な声、大声で出してたの?」
「そんな変だった?自覚はないけどなぁ…」
「あはは…」
これは、萌歌が引いているときの反応だ。
萌歌がアイドル好きだったらなぁ…。
仕方ないことだけど。
その稚隼くんって人は、無口なのに女子にモテる。
今日もほら、デートのお誘いが…
「ち〜は〜や〜♡♡♡今日さ〜、遊べるぅぅ〜?」
「いや、ごめん。今日はバイトがあるんだ」
即答⁉︎ やっぱり、女子には興味ないよね。
私はなぜだかホッとしたけれど、胸もじくじくひている。苦しい、っていうのかな。
そんな気持ちを無視してむかえた、放課後。
部活を休み、ダッシュで駅へ向かう。
あれっ?今の…いやいや、そんなわけない。