「…そうですね。記憶が欠けてる部分は…16歳から18歳までの記憶です…。」

 目の前の彼女は、桜坂絢音さん。

 僕とは今夜限りの話し相手だ。

 彼女は辿々しく僕の質問の答えを返す。

 …なるほど。

 16歳から18歳までの2年間の記憶を

 失ってるのか。

 ならば…

 「では質問を変えます。
 2年間の期間に知り合った方とか
 居ましたか?」

 「うーん…確か…宮原春羽という女性と
 知り合った記憶があります。」

 …よし。少しずつ掴んできた。

 「実は私、その頃丁度、日記とか書いてたみたいで…その時の日記に詳しく書いてあって…良かったら見ますか?」

 …日記か。桜坂さんの事を少しずつ分かってきたかもしれない。

 「はい、是非見たいです。」

 僕は桜坂さんには見えない位置で

 ガッツポーズをした。