僕は宮崎咲夜。20歳。

 今日も僕は夜の月を見上げながら

 話を聞く。

 「あの…咲夜さん
 本当に話を聞いて頂いても良いんですか?」

 「ええ、構いませんよ。
 それが僕の仕事なので。」

 彼女は桜坂絢音。19歳。
 僕の今夜限りの話し相手だ。

 「では桜坂さん、今夜のお話は何ですか?」

 彼女はごくりとうなづき僕を見つめる

 「実は私は記憶を一部失ってるんです。
 いわえる記憶障害なのですが、
 その忘れた記憶の内容を
 思い出したいんです。」

 「つまり簡潔にまとめると
 僕と記憶の話をしながら
 思い出したいという事ですか?」

 「ええ、そうです。」

 うーむ…と僕が唸ってると…桜坂さんは

 「や、やっぱり話した所で…記憶が戻る
 可能性は低いですよね…」

 と僕から目線を逸らす。

 「…いや、多少の可能性はあり得ますよ。

 何故なら記憶を取り戻したいという思いで
 桜坂さんはこうして行動に移しましたよね?

 確かに記憶が戻るかというと正直僕には分かりませんが

 やってみないとその可能性にも辿りつけないですから」

 僕は真剣に桜坂さんの目を見て伝えてると

 桜坂さんは目をぎょっとしながら

 「…確かに…!!」

 と納得し始める。

 僕は脳内で思考を巡らせる。

 記憶障害の解決策を。

 「では、まずは手始めに記憶障害の始まりは

 いつ頃か覚えてますか?

 例えばこの時期の記憶が

 曖昧だなぁ…とか。」

 記憶障害ならばある一定の期間の記憶を失ってるかはたまた完全に覚えていないのか?という答えによって

 重症な記憶障害なのか

 軽度の記憶障害なのかが分かる質問を

 彼女に問いかけてる様にしてるが

 実際はその記憶の一部の期間を理解する為に

 わざと簡単な質問で試してるのだ。