帰り道。

 辺りはまっくら。


 私は身長よりも長い弓を持って夜道を歩いていた。

 部活の後も自主練をしてたからこんな時間になってしまった。


 結局、一本もあたんなかったんだけど。


 フラれてから、ずーっと頭がモヤモヤしてて、何をやっても集中できない。


 元カレとの最後の会話を思い出す。


「あんま会えないしさ、俺たちもういいよな。別れよ」

「うん……」

「お前も、部活忙しいじゃん?」


 耳に伝わる振動。

 よどんだ空気感。


「わかった……ごめんね。あまり時間とれなくて」


 本当はもっと話したかったけど……。

 向こうはあっけなく「それじゃ」と言って去って行った。


 ウソでしょ?


 たったこれだけのやり取りで終わってしまった。

 恋があんなに盛り上がってた頃のテンションはどこへやら。


 最後はあっけないものだった。


 私が部活で時間がないのは、付き合う前から変わってないよ?


 じゃあ、どうして?


 わかってる。


 離れたんだよね、心が。


 クラスの誰かが言ってたよ。

 夏休み、お祭りの日に他校の女の子と歩いてたって。

 そのことについてはきけなかった。

 別にききたくないけど。


 夏休みもほとんど会えなかったし、なんとなくこんな結末は見えてたけど……。


 ああ、もう!


 やっぱ、問い詰めればよかった!