「蒼生くん、お待たせ」

「えっ……、絃葉ちゃんすごく可愛い」


私の姿を見た蒼生くんは目を大きく見開いたあと、すぐに褒めてくれた。


「いつも可愛いけど、今日はその何倍も可愛いよ」

「あ、ありがとう……」


蒼生くんの言葉に、ぽぽぽっと顔が赤くなるのが自分でも分かった。


「蒼生くんも、すごくかっこいいよ」


今日の蒼生くんは濃紺のスーツに身を包み、いつもサラサラな栗色の髪の毛はワックスでセットされている。


バッチリ正装した蒼生くんは、いつも以上に王子様感が増してキラキラしている。


「こんなにも可愛い絃葉ちゃんのこと、誰にも見せたくないなあ。パーティーなんか参加せずに、このままどこかに連れ去りたいくらいだ」

「え?」


ひとりで何かブツブツ言っている蒼生くんに、私は聞き返す。


「ううん、何でもない。支度ができたし、そろそろ行こうか」


蒼生くんが笑顔で差し出してくれた手に、私は自分の左手を重ねた。