「絃葉ちゃん。これ、良かったら」


ある日の学校の帰り道。


いつものように蒼生くんの家のリムジンに揺られていると、隣に座る蒼生くんが私に細長い封筒を渡してきた。


「これは?」

「来週末、都内のホテルで京極家主催のパーティーがあるんだけど。これは、その招待状」

「パ、パーティー!?」


庶民の私にはあまり耳慣れない言葉に、つい大きな声が出てしまった。


「うん。といっても、父の会社……財閥関係の集まりなんだけど」

「そんなところに、私がお邪魔してもいいの!?」

「もちろん。両親が絃葉ちゃんに、陽莉を助けてもらったお礼を、改めてちゃんとしたいって言っててね」

「そんな! お礼なんていいのに……」


蒼生くんには、学校で身の回りのお世話をしてもらって。

執事の深澤さんにも、こうして毎日送り迎えをしてもらって。

ゴールデンウィークには蒼生くんの家で、ケーキもご馳走になったし。


もう十分すぎるくらい、京極家の方たちには色々してもらっているというのに。