「〜っ!」

「ね? 言ったでしょ? キスするって」


私を見て、クスリと微笑む京極くん。


ま、まさか。恋人でもない私に、本当にキスしてくるなんて……!


唇の触れた部分が、ほのかに熱い。


「きょ、京極く……」

「額にしたから、次はどこがいいかなー?」


京極くんの目線が、額から下へと下がる。


そして髪をひと束掬われ、彼の唇がそこに落ちた。


「ま、また!?」

「この調子だと、そのうち絃葉ちゃんの体全てにキスすることになるかもね?」


私の体、全てって!!


京極くんの言葉に、頭から湯気が出そうなくらい頬が急激に熱くなる。


ていうか、ここはリムジンの中で運転席には執事の深澤さんがいるのに!


私が京極くんのことを苗字で呼ぶたびにキスされてたんじゃ、私の心臓がもたないよ……!