それから京極くんに手を繋がれたまま昇降口まで行き、校門前に迎えに来ていたリムジンに私たちは乗り込んだ。
そのまま、リムジンはゆっくりと動きだす。
「……」
京極くん、教室を出てからずっと無言だけど。
もしかして、機嫌が悪い?
チラッと横目で京極くんを見ると、彼は車の窓の外に顔を向けたまま。
「あの、絃葉ちゃん……ごめん」
「え?」
「今更だけど、もしかして絃葉ちゃん、今日は萩原くんと帰りたかったかなって思って」
「えっと、いや……大丈夫だけど」
圭人にちゃんと返事できなくて、悪いことしたなあ。
家が近所だし、また改めて今度お母さんと圭人の家に伺おうかな。
「俺、絃葉ちゃんが萩原くんに取られるかもって思うと、なんか無理だった。俺、ほんと君のことになると余裕がなくなって……ダメだなあ」
自分の口元を、手の甲で押さえる京極くん。