背後からいきなり声がして振り返ると、そこには京極くんが立っていた。


今日は掃除当番で、待ってもらうのも悪いから、先に帰っててって言ったのに。


もしかして京極くん、今まで待っててくれたの!?


「さっきまで担任に呼ばれてて、戻ってきてみたら……」

「つーか、ダメだって何だよ。絃葉と帰るのに、いちいち京極に許可とる必要ねえだろ? 絃葉は、お前の彼女じゃないんだし」


圭人が鋭い目つきで、京極くんを見据える。


どうしよう。圭人が転校してきたあの日と同じように、二人がまたバチバチしてる……。


「絃葉ちゃんの骨折がきちんと治るまでは、俺の家の車で送り迎えすることになってるんだ。だから……申し訳ないが、萩原くんと帰るのは絃葉ちゃんの骨折が治ってからにしてくれ」


それだけ言うと、京極くんは私の左手を握り、私のカバンを持って教室を出ていく。